イヤな感じがじわじわ続く韓国映画『かくれんぼ』でスリリングなひとときを

もういいかい、もういいよ。

幼いころに誰もが体験したであろう「かくれんぼ」。おしいれやクローゼットに身を隠して、息をひそめたものです。

 

けれど韓国映画『かくれんぼ』を観たら最後、クローゼットの中に入るどころか、覗くこと自体怖くなってしまうかもーーー。

 

広々とした高級マンションで、妻子と幸せに暮らしていた主人公。

そんなある日のこと、疎遠だった兄が失踪したと連絡が入り、平穏だった日々が音を立てて崩れ去っていきます。

 

兄はずっと自分を恨んでいた。もしかしたら、自分や家族を殺しにくるかもしれない。

 

そんな不安がよぎる中、不可解な出来事が次々と起こり始めるのです。

 

主人公はまず、兄の家へと足を運びますが、もちろん家はもぬけの殻。そして主人公はあることに気がつきます。

 

兄のマンションの玄関先に書かれた謎の記号。よく見たら全世帯に書かれているし、なぜか自分のマンションにも記号がある。これってもしかして……。

 

本作をひと言で表すなら「ヒトコワ系」です。

おばけよりもモンスターよりもゾンビよりも、結局最後は「人間が怖い」。

 

主人公を追う殺人鬼の正体は、本当に兄なのか。疑うべきは、誰?

 

 

 

我々は、怪物にも、英雄にもなれる…特殊能力を持って生まれた者たちの運命やいかに!? 韓国ドラマ『ムービング』にドはまり中

もしも超能力が使えたらーーー。

幼い頃、時折そんな空想をしていた記憶があります。

 

ディズニープラスで配信中の韓国ドラマ『ムービング』は、特殊能力を持って生まれた男女と、その能力を受け継いだ子どもたちのお話。子どもたちが成長した現代を軸に物語が描かれます。

 

宙に浮く能力を持つ少年・ボンソクと、ケガをしない能力を持つ少女・ヒスは、ひょんなことから同じ学校に通うことになりました。

お互いの能力については知らないものの、不思議と惹かれ合ったふたり。ボンソクは、ヒスを見るたび舞い上がり、宙に浮きそうになるので、身体に重りをつけてどうにか耐えしのいでいます。

 

いっぽうヒスは、ボンソクの優しさ、屈託のなさに、心癒やされていました。

そんなふたりを遠くから見つめる少年・ガンフン。実は彼にも「怪力」という特殊能力があったのです。

 

全20話の序盤は、3人の少年少女の目線で進行していきます。

イ・ジョンハさん演じるボンソクは、よく食べ、よく笑う、とってもいい子。あまりにも可愛らしく、この子を見ていると、我が子を超えて「孫」のようにすら思えてきます……どうかたくさん食べてスクスク育ってほしい!(※中の人の実年齢は25歳)

 

そして中盤からは、大人たちの物語へと移行していきます。

さかのぼること90年代、韓国の国家安全企画部は、特殊能力を持つ者たちを集めたエリート部隊を結成。そして現在、かつてのエリート部隊は「追われる者」として、命を狙われるようになるのです。

 

いったいなぜ、命を狙われなければならないのか。

そして、同じ能力を受け継いだ子どもたちの運命やいかにーーー。

テンポのよいストーリー展開と驚異的なアクション、圧倒的スケールに心奪われつつ、恋愛パートにほっこりできる、ヒューマンドラマ。1度観たら最後、高確率でハマるはず。

前代未聞のトンチキ展開がクセになる…ホラーなんだけど全然怖くないホラー『 “それ” がいる森』

ジャパニーズ・ホラー界の巨匠として知られる、中田秀夫監督。『リング』『事故物件 恐い間取り』など、数々の恐怖作品を生み出してきました。

 

そんな中田監督が2022年に製作した映画『 “それ” がいる森』。

 

得体の知れない “それ” に振り回され、安全を脅かされる住人たち。 “それ” とはいったい何なのかーーー。

 

田舎町でひとり農業に励む主人公。ある日突然、別れて暮らす小学生の息子がやってきて、しばらく一緒に暮らすことになります。

ちょうどそのころ、近くの森で不可解な怪奇現象が立て続けに発生していました。町でも、住人の不審死や失踪が後を絶たず、主人公も息子も不安を覚える日々。

 

そんなある日のこと、主人公と息子がついに “それ” と対峙してしまうのです。

 

ゾンビに幽霊、ヒトコワ系。ガチで怖い作品も大好物ですが、同じくらい愛してやまないのが「B級」もしくは「トンチキ系」。怖いというよりもまず「なんだこりゃ(笑)」と笑顔になってしまう作品には、抗えない魅力があるものです。

 

『 “それ” がいる森』も、まさしくこのタイプ。

ジャパニーズ・ホラーというジャンルには属しているものの、内容は「超変化球」。ツッコミどころ満載の娯楽系ホラーで、間違いなく夜中にトイレに行けなくなるような作品ではないです。余裕で行けます。悪夢も見ないしシャンプーもできます。

 

ガチホラーを期待すると肩透かしを食らいますが、トンチキ系と思って鑑賞すれば面白い。そして不思議とクセになる……!

 

正直、中田監督の真意ははかりかねますが、今後はこういうトンチキ系も製作していくという意思表示なのでしょうか。

とにもかくにも、「トンチキ系ホラーがツボ」という人には高確率でハマると思います。怖いのが苦手なホラー初心者も、安心して楽しめる作品!

 

 

観ているだけで息が切れそうになる韓国映画『殺人鬼から逃げる夜』…どこまでも追いかけてくる殺人鬼から逃れられるのか

復讐や怨恨、仲違い。人が人を殺すには、なにかしらの理由があるものです。

 

映画やドラマといったフィクションにも、殺人の理由が語られるシーンが出てきますが、近頃は「理由なき殺人事件」を扱った作品もチラホラ。今回取り上げる韓国映画『殺人鬼から逃げる夜』の犯人も、まさにこのタイプです。

 

ただ殺したかっただけ。

シンプルな動機から繰り返される残忍な行為。

 

本作の主人公・ギョンミは、会社から帰宅途中に、血を流して倒れている女性・ソジョンを発見したことから、近くに身を潜めていた連続殺人鬼・ドシクの次のターゲットにされてしまいます。

 

しかもギョンミは、聴覚に障がいがあり、言葉もうまく話せません。

連続殺人鬼・ドシクは、そのあたりをうまく利用して、ギョンミを孤立させ追い詰めようとするのです。

 

こうして始まった夜の追いかけっこ。

連続殺人鬼・ドシクは、サイコパスでありながら驚異的な脚力の持ち主。ガッツもあるため、どこまでもどこまでもどこまでも追いかけてきます。しかも全力ダッシュで。

 

しかしギョンミも負けておらず、視覚・脚力・持ち前の機転を武器に、逃げて逃げて逃げまくる! 韓国中を走り抜ける勢いで、終わらない追走劇を繰り広げます。

 

本作は、ホラー要素強めなサスペンスですが、怖いというよりもむしろ、役者さんへのリスペクトが高まる作品でもあります。

だって、80分間走りまくる映画なんて、ほかに観たことないもの……! 追いかけっこする羽目になった役者のみなさんは、相当苦労したのではないでしょうか。

 

ギョンミを演じるのはチン・ギジュさん。

韓国最大の財閥企業・サムスングループのエリート社員から報道記者に転身し、モデルを経て俳優になった……という、超異色の経歴の持ち主です。

 

そして、ガッツのある殺人鬼を演じるのは、『コンジアム』『イカゲーム』などに出演する今注目の俳優ウィ・ハジュンさん。ふたりの壮絶な追いかけっこを見届けて。

ランチどきは永遠に終わらない海外ドラマ『リバーデイル』を観ることにしている

アメリ東海岸の小さな町・リバーデイルを舞台にした海外ドラマ『リバーデイル』。現在Netflixでシーズン7まで配信中です。

 

完璧に見える町に立ち込める、真っ暗な闇。地元の高校生たちがリバーデイルに隠された秘密を暴いていくミステリー青春ドラマで、『ツインピークス』×『ゴシップガール』のイイトコどり、とも言われているのですが……。

 

ハッキリ言って、話がトンチキすぎる!!!!!

 

ある日突然起こった失踪事件をきっかけに、ほのぐらいパンドラの箱が開くーーー。

謎が残された遺体。住人たちが抱える秘密。

高校生のアーチー、ベティ、ヴェロニカ、ジャグヘッドは、事件の謎を解くために行動に出ます。

 

ここまではいいんです。普通に面白いんですけども、話が進んでいくごとに「嘘でしょ!?!?!?」と目を疑いたくなるようなトンチキ展開が続出するんですよ。

 

たとえば、本作にはいわゆる「毒親」ばかり出てくるのですが、自宅を売春宿にしたり(しかも自分から積極的に売春する)、殺人鬼だったりと、毒の濃度がレべチ。

子どもたちの方も、それぞれがおぞましい秘密や願望を抱えており、「この町どうなっちゃってんの?」と、ポカーンとすることもしばしばです。

 

また、長く続いているシリーズということもあり、中だるみすることもあります。

しかし、それでもなお、鑑賞せずにはいられない不思議な吸引力がある……!

 

なにも観るものがないときは、いつだって「『リバーデイル』でも観るか」と思ってしまう私。まるで、腐れ縁の元カレやセフレのような存在だわ……。

 

サスペンス&ミステリーがふんだんに盛り込まれているため『ツインピークス』要素が強めではありますが、『ゴシップガール』の要素もたっぷり。狭いコミュニティの中で展開されるシャッフル恋愛、ハイセンスなファッションも、見どころのひとつです。

 

若干飽きてしまったとしても、なぜか観続けてしまう、このドラマ。

実はしばらく鑑賞せずにいたのですが、つい最近Netflixで新シーズンがスタートしたこともあり、再び手を伸ばしてしまいそうです。

全シーズンで136章もある(!)ので、ランチタイムに消化していこうと思います。

 

 

イケメン兄弟に愛されちゃって困ってます! モテ疑似恋愛とリゾート地の絶景を堪能できるAmazonプライム海外ドラマ『私たちの青い夏』

イケメンたちに愛されちゃう物語、夢がありますよね。

アマプラで配信中の海外ドラマ『私たちの青い夏』も夢がいっぱい! 親戚のような関係の幼馴染みイケメン兄弟に求愛される、ティーンエイジャー女子のひと夏を描いています。

 

幼いころからメガネっ娘で、どちらかというとあか抜けない存在だった主人公ベリー。ところが思春期を迎えるころには魅力的な少女へと成長。そんなベリーを見て、幼馴染みのコンラッド&ジェレマイアは胸をときめかせるのでした。

 

どこか影のあるコンラッドと、生粋の陽キャであるジェレマイア。「優しい」「イケメン」という共通点こそあれど、そのほかの部分は全く似ていません。

 

異なるタイプのイケメンに求愛されて、ふたりのあいだで揺れ動くベリー。いやこれ、もう『花より男子』じゃん。道明寺と花沢類のあいだを行ったり来たりする牧野つくしじゃん。完全に漫画じゃ〜〜〜ん!

 

少女漫画のようなドキドキ感を楽しめるのはもちろん、ティーンエイジャーだったあの頃の自分を投影することで、モテ疑似恋愛まで楽しめちゃうというわけです。

ベリーになりきって、コンラッドとジェレマイアに恋しましょう。

 

本作の舞台となる海辺の町も、見惚れるほど美しく、夏の終わりに鑑賞するにはピッタリの作品となっています。

 

青い空と海、潮風、白い砂浜ときらめくプール。バカンスならではの浮かれたムード。

目に映るものすべてが美しく、自分自身もバカンスしているかのような気分に浸れることでしょう。

 

まばゆい青春が詰まった『私たちの青い夏』。2023年8月21日時点ではシーズン2まで配信中です。

 

シーズン2も、むろん面白いのですが、私的おすすめは断然シーズン1。はじまりの物語でもあるし、シーズン1の胸キュンシーンでしか得られない栄養があります。

最近キュンキュンしてないな〜という方は、今すぐ観ましょう。

 

 

Netflix韓国ドラマ『マスクガール』に引きずり込まれた日曜日 / そもそも誰が・何がいちばんの悪?

もっと目が大きかったら。もっと鼻が高かったら。もっと可愛く生まれていたら、違う人生を歩めていたかもしれない。

 

顔にコンプレックスがあることで、夢を諦めざるを得なかった、ある女。

不本意ながら、昼間は普通の会社員として働いているけれど、夜になればスタイル抜群の謎の美女 “マスクガール” として華々しく活躍します。

 

本作を鑑賞する前に、SNSでちょこちょこ見かけたのは

「整形垢(アカウント)ならきっと共感できる」

という感想でした。

 

フェイスマスクで顔を隠し、自慢のスタイルとダンスを武器にして、マスクガールとして注目を集める日々。

もっと私を見て。私を欲して。私を肯定して。

だって、昼間の私は、そのどれも望めない。誰も愛をくれない。

 

マスクガールの切なる気持ち、そして残酷な現実に、共感する人は後を絶たないでしょう。もっと可愛くなりたいって、誰もが1度は持つ願望だと思うもの。

 

そんなふうに、マスクガールに共感しているうちに、あれよあれよと事件が起こりまくるのが本作です。話が進むに従って、どんどん様相を変えていき、予想だにしない展開へと着地します。

 

そもそも何が悪かったのだろう。誰が悪かったのだろう。どうして人生は、こうも上手くいかないのだろうか。そんなことを考えていたら、丸1日が過ぎ去っていました。

彼女はいったい、どこからつまづいていたんだろうね。

 

マスクガールを演じるのは、3名の女優たち。整形後のマスクガールを演じるナナ様の美貌は必見です。

そして、マスクガールと対峙する女を演じるのは、韓国の演技派女優ヨム・ヘラン。現在Netflixで配信中の韓国ドラマ『悪霊狩猟団カウンターズ』で見せる演技とはまるで別人の、鬼気迫る表情に注目してほしいです。